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シリカバイオミネラリゼーション

原生生物における細胞外被構造は変化に富んだ外環境や外敵から細胞を守るなど重要な役割があり、その材質やデザインが多種多様であることが知られています。中でも珪藻は珪酸質の微細で精巧な模様の箱型の殻をまとっており、その模様は数nmオーダーの細かなものです。これは我々人類の微細加工技術の限界である数百nmを超えた細かさであり、珪藻の被殻形成メカニズムの解明は微細加工による生体模倣を目指した応用研究の基礎となる非常に重要な課題ということができます。

珪藻の被殻はゴルジ体由来の珪酸沈着小胞(silica deposition vesicle: SDV)に珪酸が沈着することで形成されます。珪酸(Si(OH)4)は、リン酸化を受けた珪酸沈着タンパク質の働きによって沈着してゆきます。また、被殻の形態を左右するSDVの形態は、SDV膜上の膜タンパク質やそれに付随するタンパク質が微小管やアクチンと相互作用することによって制御されていると考えられています。

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珪藻Phaeodactylum tricornutumは全ゲノムが解読済みであり、安定的な遺伝子導入やRNA干渉によるサイレンシングの系が確立していることから、珪藻のモデル生物と呼ぶことができます。私達は現在までに、珪藻の被殻形成に関与すると思われるタンパク質を同定しているので、今後P. tricornutumをつかったタンパク質局在・機能解析を進めてゆく予定です。

参考文献

Kröger et al. 1999 Science 286:1129–1132

Kröger and Poulsen 2008 Annu. Rev. Genet. 42:83–107

Tesson and Hildebrand 2010 PLoS ONE 5:e14300

Tesson et al. 2017 Sci. Rep. 7:13457

Hildebrand et al. 2018 Front. Mar. Sci. 5:125

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